サンクコストとは、「すでに回収ができない投資費用」を意味し、イニシャルコストやランニングコストと同様に、意思決定に影響する重要なワードです。
今回はサンクコストについて例や効果について解説します。
意思決定に影響するサンクコストとは
先述したように、サンクコスト「回収ができない投資費用」であり、意思決定に影響を与えます。
「意思決定に影響」という部分についてより具体的には、『過去に投資した金額が大きいほど、サンクコストになった時に取り返そうとする』心理です。
また、この心理が働くと、誤った意思決定をしてしまうおそれがあります。
サンクコストの例
日常的なサンクコストの例から、サンクコストの考え方を示します。
サンクコストの例としてよくある例なので、知っている方も居られるかも知れません。
例:映画館の前売り券を家に忘れてしまった
代金1800円を払って前売り券を購入したとします。
ですが当日、自宅にチケットを忘れたとします。
その際、当日券を購入するかの意思決定を迫られることになり、一般的には『忘れてきたチケット分と合わせた金額(3600円)を払ってその映画を観るか』という基準で意思決定をする傾向があります。
しかし、サンクコストの考え方では、映画を観ることに1800円の価値を見出しているのであれば、チケットを再購入して映画を観るのが合理的な選択とされています。
忘れてきた前売り券の代金1800円はすでに投資してしまっていて回収できないため、サンクコストとなります。
この場合、当日券を購入するという意思決定をするにあたり、前売り券代1800円は回収できないので無視するべきです。
当日券が1800円で、映画を観ることに1800円の価値を見出しているのであれば、投資するコストを回収できるため、当日券を購入するべきだと判断します。
例:オフィス街の飲食店を土日も営業する
休業日も家賃は発生していますし、調理器具やテーブルなどはイニシャルコストとして購入していることから、土日には人通りの少ないオフィス街でも営業すべきだという意思決定をしてしまうオーナーがいます。どうせモノはあるのだから、営業したほうが得という発想です。
しかし、家賃や調理器具、テーブルなどはサンクコストであるため意思決定には使用するべきではありません。
お店を開けば、食材費や人件費、光熱費などが発生するので、それらのコストを売上が上回るかが、営業すべきかどうかを判断する材料になります。
営業しても赤字であれば、意味がありません。
最後に
サンクコストは、企業や個人に関わらず意思決定に働きます。
人は、既に支払ってしまったものを簡単に捨てられません。
あなたの自宅にも、古くてもう着ない洋服、古い家電など、もう使わないものを取ってありませんか?
それらはサンクコストであり、そのコストはもはや回収することができません。
置いておくだけで場所を取り、無駄なコストが掛かります。
サンクコストを考えた場合、捨てるしか無いのですから、捨てるかどうしようか悩むことそのものが無意味になります。
サンクコストは企業でも同様に影響を与えています。
「これだけ費用をかけたから、もう少し頑張って回収しよう」、と考えて赤字の事業が続けられることもあります。
ビッグプロジェクトを畳めないのも、この心理が影響しています。ジャパンディスプレイも・・・。
しかし多くの場合、赤字が拡大するだけになります。過去に使ってしまって回収できないお金は既にサンクコストです。
サンクコストに打ち勝つためには「勇気を伴う決断」が必要です。