先日こんなニュースがありました。
みずほのシステムがダウンし、長時間にわたりATMが使用できなくなりました。
私は、みずほの株主でもありますので、これは傍観できません。
そして、これはただのシステム障害とは言えません。
今回は、日本企業に巣食う悪しき風習に焦点をあてたいと思います。
想定されるデータの処理量を読み違えた
今回の大規模障害の発端はATMではなく、定期預金のデータ移行作業です。
みずほは紙の通帳を使う口座から通帳レス口座への切り替えを進めている中で、1年間記帳のない口座は通帳レス口座へ自動的に移行される予定でした。
この移行に伴い、平時には発生しない45万件の処理が必要となったのです。
そこに、月末の定期預金の更新処理が25万件発生し、メモリー不足で処理ができなくなりました。
銀行の合併に伴う弊害
直接の原因は、メモリー不足かもしれませんが、根本原因はツギハギのシステムを使い続けたことです。
みずほ銀行は、『第一勧業銀行』『富士銀行』『日本興業銀行』の3つが合併して、『みずほ銀行』が誕生しました。
通常であれば、どこか1行がリーダシップを取り、システムなどはその1行に集約するのが基本ですが、みずほの場合は違いました。
3行がフラットな立場で経営を進めていたため、基幹となるシステムが決められず、全行に忖度したシステムを構築しました。
良く言えば「対等」な関係、悪く言えば「独善的」な関係です。お互いに自分たちの利益を優先してしまった結果、まとまり切れないまま現在まで来ました。
詳しく知りたい方は、こちらをご一読ください。
みずほだけではない日本企業の風習
サラリーマンならわかると思いますが、物事を決めるときには大人数で話し合いを行います。
その際、明確な責任者を決めず「みんな」で決めたことにしていませんか?
このやり方は意思決定まで、すごく時間がかかる上に、何か起こっても誰も責任を取りません。
結果として、何度も同じ失敗を繰り返し、最終的には頓挫します。
日本企業の悪い風習で、みずほもこの例にもれずやってしまいました。
イチからやり直した方が早いし確実なのに、誰もそれを言い出せなかったのです。
投資先としては失格
我々投資家にとって、社内事情などどうでもよく、大切なのは利益を上げられるかだけです。
今回のようなシステムトラブルは顧客離れが進む一因となりますし、体質が変わらない限り今後も続くでしょう。
我々にできることは、将来性を見据えて投資を続けるか、見切りをつけて損切りをするかだけです。
みずほの場合で言えば、今回の件で体質が変わるか、それともまたトラブルを発生させるかを予想することです。
システムトラブルはすでに大きなものを3回出しています。
個人的には、もう変わらないと思っています。
みなさんは、どう判断されたでしょうか?