国民の大多数が入っているといわれる医療保険。
勧誘員に言われるまま加入していませんか?
実際にどのくらいの人が加入しているか見てみましょう。
出典:公益財団法人生命保険文化センター
2人以上世帯における医療保険の加入率は実に88.5%。
単身世帯はもっと低いと思われますが、かなりの人が医療保険に加入している現状が見て取れます。
しかし、殆どの人が医療保険の必要性をわかって入っていないように思えます。
保険は万が一への備えです。自動車保険であれば、事故を起こしたとき。火災保険であれば、火事や災害で家が破損したとき。
こういう話をした時「いや、わかってるから入院や手術に備えてるんでしょ」と言われます。しかし、入院や手術の費用がどれだけかかるか、具体的に理解しているでしょうか?
医療保険は必要な人と必要でない人に別れます。
次章よりなぜそうなるかを見ていきます。
目次
医療保険がないと医療費が払えないのか?
本当に医療保険が必要化を検証する為、まずは個人が支払う医療費について見ていきましょう。
自己負担は3割
入院や手術の自己負担は3割です。高齢者や幼児(小学校入学前)は2割になります。
外来は医療保険の対象外なので除外します。
国民皆保険制度のおかげで、保険適用される医療費については全額を払うことはありません。
月あたりの医療費には上限がある
高額療養費制度を使うと、普通の会社員であれば月あたりの医療費は約8万円が上限。
高額所得者でも最大25万円程度です。
所得区分 自己負担限度額 多数該当 健保:標準報酬月額83万円以上
国保:年間所得901万円超
(年収の目安 約1,160万円~)252,600円+
(総医療費-842,000円)×1%140,100円 健保:標準報酬月額53万~79万円
国保:年間所得600万~901万円
(年収の目安 約770万~1,160万円)167,400円+
(総医療費-558,000円)×1%93,000円 健保:標準報酬月額28万~50万円
国保:年間所得210万~600万円
(年収の目安 約370万~770万円)80,100円+
(総医療費-267,000円)×1%44,400円 健保:標準報酬月額26万円以下
国保:年間所得210万円以下
(年収の目安 約210万円以下)57,600円 44,400円 住民税の非課税者等 35,400円 24,600円 出典:厚生労働省HP
ただし個室を利用した場合は差額ベッド料がかかります。
それ以外にも食事代など細々とした費用が予測されるので、プラス数万円は見ておいた方が良いでしょう。
こうしてみると、費用負担はそれほど大きくありません。
入院期間は約30日
入院する場合、統計では平均29.3日となっています。殆どの入院は30日以内になることがわかります。
主な傷病 | 平均在院日数 (単位:日) |
---|---|
傷病全体 | 29.3 |
結核 | 54.1 |
ウイルス肝炎 | 21.2 |
胃の悪性新生物 | 19.2 |
結腸及び直腸の悪性新生物 | 15.7 |
肝及び肝内胆管の悪性新生物 | 16.9 |
気管,気管支及び肺の悪性新生物 | 16.3 |
乳房の悪性新生物 | 11.5 |
糖尿病 | 33.3 |
高血圧性疾患 | 33.7 |
心疾患(高血圧性のものを除く) | 19.3 |
脳血管疾患 | 78.2 |
肺炎 | 27.3 |
肝疾患 | 22.9 |
慢性腎臓病 | 47.9 |
骨折 | 37.2 |
出典:厚生労働省 平成29年患者調査
今回掲載していませんが、過去データから見ると入院日数は年々減少していく傾向のようです。
医療保険の必要・不要な人物とは
医療保険が不要な人
以下のような人であれば、突然の入院や手術が発生しても支払いには問題がないはずなので、医療保険は必要なさそうです。
・貯蓄が十分にある人
・資産家(私もここになりたい)
医療保険が必要な人
以下のような人は医療保険に入った方が良さそうです。
・貯蓄がない(急な出費があると生活が立ち行かない)
・入院時には個室に入りたい
・先進医療が受けたい
先進医療は全額自己負担となるため、数百~千万円かかる可能性もあります。
医療保険はコスパがいいのか
少し視点を変えて、支払った保険料の額と受け取れる給付金を比べて、医療保険のコスパが良いのかを考えてみましょう。もし損なら、医療保険は不要ということになります。
面白い計算をしているサイトがあったので紹介しておきます。
このサイトの計算では、約5年に1回以上(1泊)入院すれば元が取れます。逆に言えば5年間1回も入院しなければ払い損です。
持病がなければ、そんな頻繁に入院するケースは少なそうです。かなりコスパが悪いことがわかります。
まとめ
冒頭で述べたように、保険は万が一への備えです。
貯蓄が十分にあり、備えができているのに保険に入るのは意味がありません。
ただし殆どの人が払い損になることを理解しつつ、先進医療などに付加価値を感じるのであれば、加入もアリだと思います。