安倍政権のスローガンである「貯蓄から投資へ」は有名ですが、国民に浸透しているとは言い難い。
手持ちの資金を元に、資産を買い・増やす「資産運用」。濡れ手に粟であれば「ぜひともやりたい」と思う反面、「株や不動産投資ってなんだか大損しそうで怖い」と躊躇する人が多いのではないでしょうか。
そもそもなぜ投資が必要なのか?株式会社マイナビのデータを元に検証してみましょう。
調査方法/全国のサラリーマンを対象にインターネット調査
実施期間/2017年8月22日?8月23日、回答数601名
https://mynavi.agentsearch.jp/useful/agent_times/vo6
給与収入だけに頼るのは危険?
サラリーマンの主な収入源は給与です。そして現役時代にコツコツと貯金をし、退職後には年金と貯金の取り崩しで生活できると考えているでしょう。
しかし現在、人口減少や少子高齢社会により年金制度破綻のリスクが懸念されています。また「人生100年時代」と銘打って、70歳定年制の流れができています。65歳から悠々自適な生活を夢見ていた人は戦々恐々としているのではありませんか?
さらに、貯金のリスクとして物価上昇があります。
モノやサービスの物価が上がれば貯金は相対的に目減りします。今1万円で買えるものが、老後には1万円で買えなくなるかも知れません。
人生100歳時代では、働いてお金を稼ぐだけでは足りず、「自分のお金に働いてもらう」という考え方が重要になってきます。
まずは、人生において、いつどんなタイミングで幾らお金が必要かを知り、ライフプランを組み立てることが資産形成の第一歩です。必要以上に利益を得ることは、必要以上のリスクを抱えることにも繋がるからです。
給与収入は期待できない
高度成長期には年功序列・終身雇用が敷かれていたため、年齢と共に給与も上昇していました。サラリーマンの信用度が高いのはこの制度が在る前提だからです。
住宅ローンも年功序列・終身雇用があるからこそ成立します。給与が減るなど想定外です。
ここで、ちょっと古い資料ですが厚生労働省『平成21年版 労働経済の分析』を見ていただきたいのですが、
1980年代には、50歳で20歳前半の4倍の年収に増えていましたが、2012年では3倍にまで減っています。年々低下しているため、今後ますます低下することが予想されます。
豊かな生活のためには、副収入が必要になってきます。
副収入として挙げられるのが「副業」「資産運用」になります。副業は時間・スキルが必要になるため、誰でも気軽に始められる訳ではありません。
資産運用は勉強こそ必要なものの、人を選ばないので決意さえすれば直ぐに始めることができます。
どのくらいの人が資産運用しているか
では、実際にどれくらいの人が資産運用を行なっているのでしょうか。
資産運用をしている ・・・36%(217人)
資産運用をしていない・・・64%(384人)
サラリーマンは約3人に1人が毎月の給与以外に資産運用から収入を得ているようです。
逆に言えば3人に2人はやっていないということ。
資産運用をしている人は、どんな商品を買っているのでしょうか?
インターネット証券の登場で身近な存在となったことが影響しているのでしょう。
また、確定拠出年金(iDeCo)も企業で採用されていますし、個人型も登場したことで加入者が増加しています。企業型は会社強制なので運用と言って良いかは疑問は残ります。
FX・仮想通貨については投資とみなすかは意見が分かれそうですが、アンケート結果なのでここでは置いておきます。
不動産投資は情報収集力と目利きや空室リスクが伴うため、運用者が少ないのでしょう。ここには登場していませんが、債券も投資先としては有力です。
資産運用はどれくらいの収入を得られるのか?
サラリーマンは約3人に1人が資産運用をしているとして、気になるのは資産運用でどれくらいの収入を得られるかということではないでしょうか?
実際、どれくらいの収入を得ているのかみていきましょう。
- 0円以下(マイナス含む) ・・・ 7.4%
- 100万円未満 ・・・57.6%
- 100万円以上~200万円未満 ・・・12.9%
- 200万円以上~300万円未満 ・・・ 7.4%
- 300万円以上~400万円未満 ・・・ 5.5%
- 400万円以上~500万円未満 ・・・ 1.8%
- 500万円以上~1000万円未満 ・・・ 4.1%
- 1000万円以上 ・・・ 3.2%
資産収入が100万円未満と回答した人が約6割という結果になりました。資産運用のみで収入を得るというよりは、副収入として資産運用をしている場合が多いようです。
また、マイナスになっている約1割いることから、必ず利益を得られるわけではないことがわかります。ただし資産運用は利益を再投資する手法が主流なため、受取額としての収入が0円になるのは普通にあります。
まとめ
投資は一攫千金を狙うようなギャンブルではありません。
10年、20年先に利益を得られるような長い目でにたプランを組むことが大切です。
じっくり取り組む長期投資では、元本からの利息をさらに投資に回すことで得られる「複利」の力を受けられるというのが大きな恩恵といえます。余談ですが、アインシュタインも「人類の最高の発見は福利の力」と言った程です。
複利の力は、長く運用するほど大きくなっていくため、少額からでも、できるだけ若いうちから運用を始めることで効果も大きくなります。
ただし、どんな種類の資産運用を始める場合でも、必ず余剰資金で運用することが大切です。家賃や光熱費など生活に必要な資金を運用資金にあててしまえば、生活が困窮するとともに、冷静な判断ができなくなります。
投資にはリスクが付き物です。リスクを抱えても、生活や精神面に影響が出ない余裕を持った資金と方法で資産運用を行いましょう。